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皆さんこんにちは!
沖縄市を拠点に沖縄県内で型枠解体工事を行っている
尚愛興業、更新担当の富山です。
目次
~構造物の品質を左右する「見えない器」の科学~
コンクリート構造物の完成度を決めるのは、実は打設後の見た目ではない。
その前段階――すなわち、「型枠の設計と施工精度」によってほぼ決まると言っても過言ではない。
型枠は、まだ流動性を持つコンクリートを所定の形に保持し、
硬化完了までの間に自重・振動・温度応力・側圧など、
あらゆる外力を受け止める“構造体の母胎”である。
型枠には以下の4つの性能が求められる。
1️⃣ 形状保持性能
設計図通りの形状・寸法・かぶり厚さを保つ。
2️⃣ 耐圧・剛性性能
コンクリート打設時の側圧や振動に耐え、変形・漏れ・破損を防ぐ。
3️⃣ 施工性・脱型性
組立・解体が効率的であり、表面に付着せず再利用が可能。
4️⃣ 表面精度
打設後の仕上げ面が平滑で、美観・防水性能を確保できる。
このうち最も重要なのは「側圧への対応」。
打設時のコンクリートは1立方メートルあたり約2.3〜2.4tの重さを持ち、
内部の側圧は下部ほど強くなる。
特に高流動コンクリート(スランプフロー60cm以上)では、
液体に近い圧力がかかるため、
型枠の構造設計を誤ると、膨らみ・破損・漏れ・倒壊を招く。
型枠は単なる「板」ではない。
以下の複数の部材で構成される、ひとつの構造システムである。
面材(合板・鋼板・樹脂板など):コンクリートと接する部分
根太(ねだ)・大引き:面材を支える水平材
支保工(パイプサポート):垂直荷重を受ける柱材
セパレーター・フォームタイ:両側型枠を一定間隔で固定
締付金物(くさび・ボルト・ナット):型枠全体の剛性を維持
これらが一体となることで、
「面内剛性」「面外剛性」「耐座屈性能」が発揮される。
型枠設計では、以下の荷重を同時に考慮する。
コンクリート側圧:打設高さと速度に比例して増大(p = k × h)
振動による動圧:バイブレーター振動時の瞬間的圧力上昇
作業荷重:作業員・器具の荷重(1.5kN/m²程度を想定)
風荷重:高層・外壁型枠で考慮
温度応力・水和熱膨張:大型構造物では重要
特に側圧は「温度」と「打設速度」に左右され、
コンクリート温度が高いほど、初期硬化が早く側圧は小さくなる。
逆に寒冷期や高スランプの場合、硬化が遅れ、
側圧が最大で設計値の1.5倍程度に増大するケースもある。
したがって、型枠設計は現場環境(季節・気温・湿度)に応じた動的な判断が必要。
強度と精度を両立するためには、
面材の継ぎ目をずらす「目違い防止」
支柱ピッチの均一化(通常600mm以下)
水平根太のねじれ防止
セパレーター間隔の管理
が欠かせない。
特に、コンクリート打設時に「型枠の浮き・倒れ・爆裂」が起きる原因の多くは、
仮設段階での固定不良にある。
例えば、角部・開口部の補強を怠ると、
コンクリートの充填圧で目地が広がり、
モルタル漏れ(ジャンカ・気泡・ハチの巣)を生じる。
型枠は一度変形すると元に戻らない。
ゆえに「打設前の確認」と「打設中の監視」が極めて重要になる。
型枠面材の選定は、仕上がりに直結する。
合板の表面処理(メラミン・樹脂塗装など)によって、
コンクリート表面の色調・気泡・ツヤが変化する。
また、剥離剤の塗布量も品質に影響する。
厚すぎれば気泡やムラを生じ、薄すぎれば付着して脱型が困難になる。
公共建築物では「型枠面材規格(JASS 5)」に基づき、
**仕上げ区分(A・B・C)**を選定することで、
均一な外観品質を確保する。
🔹 型枠は構造物を形づくる“力学的容器”
🔹 数トンの側圧に耐える強度と剛性が必須
🔹 現場条件(気温・打設速度)に応じた設計が重要
🔹 面材・金物・支保工の精度が仕上がりを決定づける
建築の完成美の裏には、
無数の型枠技術者の知恵と計算、そして緊張がある。
次回もお楽しみに!
尚愛興業は沖縄市を拠点に沖縄県内で型枠解体工事を行っております。
お気軽にお問い合わせください。