オフィシャルブログ

第20回型枠工事雑学講座

皆さんこんにちは!

 

沖縄市を拠点に沖縄県内で型枠解体工事を行っている

尚愛興業、更新担当の富山です。

 

 

 

脱型作業の注意点

~「固まった瞬間」から始まる品質管理~

コンクリートの打設が終わっても、現場の仕事は終わらない。
むしろ、コンクリートが固まり始めてからが本当の勝負である。

「脱型(だっけい)」――
それは、型枠という支えを外し、構造体を“独り立ち”させる工程。
この一連の作業には、力学・化学・温度・タイミング――
すべての知識が要求される。


1. 脱型のタイミング ― コンクリート強度との関係

 

脱型の時期は、「構造体が自立できる強度」に達しているかで決まる。

通常、型枠を外す際には、設計基準強度(Fc)に対して
おおよそ5〜10N/mm²程度の圧縮強度を確保することが望ましい。

ただし、これは一律ではなく、部位ごとに異なる。

部位 脱型基準強度(目安) 備考
側面型枠(柱・壁) 約5N/mm² 表面保持が目的
床型枠 約10N/mm² 自重を支える
梁下支保工 約15N/mm² 構造安全性に直結

温度が低い季節(冬期)では硬化が遅れるため、
予定より1〜2日延長するのが一般的である。


2. コンクリート硬化のメカニズムと外的要因

 

コンクリートは水和反応により硬化する。
その進行は温度と水分に強く依存する。

  • 高温時(夏季):硬化が早いが、急乾燥による表面ひび割れに注意。

  • 低温時(冬季):硬化が遅く、脱型時に強度不足が起こりやすい。

  • 高湿環境:脱型後の養生不足で表面が劣化しやすい。

打設から脱型までの間、表面乾燥を防ぐために養生シートや散水が行われるが、
養生を怠ると表層強度が10〜20%低下する例もある。


3. 脱型時の手順と注意事項

 

脱型は、ただ外す作業ではない。
外す順番と方法によって、仕上がりの美観と安全が大きく変わる。

1️⃣ 支保工を残したまま外周部から始める
 構造体を安定させるため、荷重を分散しながら部分的に外す。

2️⃣ 打継ぎ部・角部の保護
 型枠の金物が角部に接触しないよう注意。角欠け防止材を併用。

3️⃣ 振動・衝撃を避ける
 ハンマー等での叩き過ぎはNG。剥離剤が均一に作用していれば自然に外れる。

4️⃣ 脱型後の表面点検
 ジャンカ・気泡・欠け・ヒビ・剥離の有無を確認し、補修計画へ反映。


4. 脱型による応力変化と構造安全性

 

脱型は、構造体の応力状態を大きく変化させる。
それまで型枠が受けていた側圧・自重が、
瞬時にコンクリート本体に移行するためだ。

特に梁やスラブでは、
脱型直後に“たわみ”が発生する場合がある。

この初期変形を防ぐため、

  • 残存支保工を2〜3スパンに1本残す

  • 一度に全撤去せず、段階的に行う

  • 気温変化の大きい日は午後作業を避ける

といった方法が取られる。


5. 表面仕上げと再利用への配慮

 

脱型後は、仕上げ面の品質を左右する最終チェックが行われる。
気泡跡(ピンホール)・ジャンカの補修、目違い調整、角欠け補修――。
これらを丁寧に仕上げることで、最終的な外観品質が決まる。

また、使用済み型枠は再利用されるため、
取り外しの際に面材を傷つけず、金物を変形させないことも重要。
脱型時の丁寧な扱いが、そのまま次現場のコスト削減・品質維持につながる。


6. まとめ

 

🔹 脱型は構造物が自立する最初の瞬間
🔹 コンクリート強度と環境条件の見極めが不可欠
🔹 外す順序と支保工管理が品質と安全の鍵
🔹 脱型後の点検・補修で仕上げ品質を確定

コンクリートが固まり、型枠が外れるその瞬間。
そこに現れる滑らかな打ち肌には、
数多の職人と技術者の経験、判断、そして緊張が刻まれている。

脱型とは、構造物が「完成形へと目覚める瞬間」なのである。

 

 

 

次回もお楽しみに!

尚愛興業は沖縄市を拠点に沖縄県内で型枠解体工事を行っております。

お気軽にお問い合わせください。

お問い合わせはこちらから!

 

apple-touch-icon.png